世界から彼らが消えたなら

気ままなジャニヲタによる手記

ファンであるということははたして



 私は一時期KAT-TUNが好きな時期があった。今でこそV6とHey!Say!JUMPが好きで、自らジャニヲタであると認めざるを得ない状態にまでなっているが、つい数年前までは特に好きなアイドルグループもなく、俗に言うミーハーではあったかもしれないが、普通の女の子であったと思う。そんな私はHey!Say!JUMPに興味を持ったのから少し遅れてKAT-TUNに心惹かれだしていた。そもそものきっかけはDVDで見た「ごくせん2」。メインで出演していた赤西さんにすっかり心を奪われてしまった。この時には既に赤西さんはKAT-TUNを脱退していたのだが、そこから6人時代のKAT-TUNの動画を見始めた。曲調がとても好みであり、気にいる曲がたくさんあったし、バラエティーなども見ていた。しばらくして自分の中でのブームが過ぎ去ると、5人、4人時代のKAT-TUNには然程興味はおきなかった。曲はたまに聞いていたが追いかけるほとではなかったし、他のジャニーズグループと大差なかった。なぜなのか思い返してみれば、私は赤西さんのハモりに惹かれたのだと思う。結果現在のKAT-TUNを自分の中で深い位置に位置づけることにはならなかった。

 そんな私でも、11月24日、田口さんのあの発表には少なからずショックを受けた。流し見ていたのもあり、その時はそれほど考えず、とりあえず驚きでいっぱいだった。すぐにV6の出番になり、そこに気をとられていたこともあったのだろうと思う。しかし、ベストアーティストが終わり、ツイッターを見ると実感が湧いてきた。数日後色んな方のブログ記事を読ませていただき、自分の中で色々と考えることがあった。気づけば泣いていた。そこまで好きだったわけではなく、ただ、たまに思い出したかのように曲を聴く程度だった。田口さんのことはかっこいいとは思っていたし、4人の中では1番好きだった。しかし、選ぶならばという程度であり、他の3人と優劣をつけるほとではなかったのだ。それなのに涙が出た。もう一度ベスアを見直してみた。一度見ただけでは気づかなかった。しかし、今回ははっきりと違和感を感じた。田口さんだけがただひたすらにアイドルであった。ただ、最高のパフォーマンスにすることだけを考えているのだろうと思えるものだった。他の3人はとても辛そうで、見ているこちらが辛くなるとすら思ってしまう。そんなステージだった。部外者である私が言っていいことではないのかもしれない。何もわからないくせにと言われるかもしれない。しかしファンでない私ですら辛いと思ったのだ。ファンの方は、何を思って見たのか。逆にもしも、私の好きなグループだったら。想像もできない。いや、古くからのファンの方は幾度となく想像してきたのかもしれないその恐怖。しかしV6ではそれが現実に起こることはなかった。だから私は今、6人を好きでいることができる。

 不祥事以外でメンバーが脱退するというのは、今の時代の男性アイドルとしてはとても珍しいことのように思う。どこかでみんな、ずっとアイドルでいてくれると思っている。不祥事でも起こさない限りは大丈夫だと、自分から離れることさえしなければずっと応援し続けられるのだと。だから、たくさんの他グループのファンの方もショックを受けたのかもしれない。アイドルが、自分が応援してきた人が、自分から他の道を選んでいってしまうことがあるのだと気付いたから。アイドルだって1人の人間だ。途中で他にやりたいことが見つかることもあるかもしれない。私たちファンには、それを引き止めることはできない。ファンの存在を思い出して踏みとどまってくれることもあるのだろうか。アイドルが何を考えているのか、ファンには想像しかできない。これが、アイドルとファンという関係なのだ。応援している、それに応えてくれる。しかし、本当のことは何もわからない。そう考えるととても悲しくなってきた。あぁ、ファンであるというのはどういうことなのだろう。